分析手法

PER・PBRの見方と活用法 — 株の割安・割高を判断する基本指標をやさしく解説

PERとPBRの意味・計算方法・見方の違いを初心者向けにわかりやすく解説。業種別の目安や組み合わせた活用法、具体例を交えて株の割安判断ができるようになります。

PER・PBRを理解すれば「なんとなく投資」を卒業できる

株式投資を始めると、必ず目にするのがPERPBRという2つの指標です。「名前は聞いたことがあるけれど、実際にどう使えばいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

この2つの指標は、株価が割安か割高かを判断するための基本ツールです。使いこなせるようになると、感覚ではなく数字に基づいた投資判断ができるようになります。

この記事では、PER・PBRそれぞれの意味と見方、業種による違い、そして組み合わせた実践的な活用法まで、具体例を交えて解説します。

PER(株価収益率)とは

PERの基本

PER(Price Earnings Ratio)は、株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標です。

PER = 株価 ÷ 1株あたり利益(EPS)

たとえば、株価が2,000円で1株あたり利益(EPS)が100円の企業A社なら、PERは20倍です。これは「投資した金額を利益で回収するのに20年かかる」というイメージです。

PERの見方

PERの基本的な読み方はシンプルです。

  • PERが低い → 利益に対して株価が安い(割安の可能性)
  • PERが高い → 利益に対して株価が高い(割高の可能性、または成長期待が大きい)

ただし、「PERが低い=お買い得」とは限りません。業績悪化が見込まれているから株価が下がっている、というケースもあります。

PERの目安

日本株全体の平均PERはおおむね13〜16倍程度です。ただしこの数値はあくまで目安であり、業種によって大きく異なります。

業種 PERの目安 傾向
銀行・保険 8〜12倍 安定業種で低め
食品・日用品 15〜25倍 ディフェンシブで安定
IT・SaaS 25〜50倍以上 成長期待が高く高め
不動産 10〜15倍 景気敏感で変動あり

同じ業種の他社と比較するのがPER活用の鉄則です。IT企業のPERが30倍でも、同業他社が40倍なら相対的には割安と判断できます。

PBR(株価純資産倍率)とは

PBRの基本

PBR(Price Book-value Ratio)は、株価が1株あたり純資産の何倍かを示す指標です。

PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)

企業B社の株価が1,500円で、1株あたり純資産(BPS)が1,000円なら、PBRは1.5倍です。

PBRの見方

PBRの重要なラインは1倍です。

  • PBR 1倍未満 → 株価が企業の解散価値を下回っている(理論上、今すぐ会社を清算したほうが得)
  • PBR 1倍以上 → 純資産以上の価値が株価に織り込まれている

PBR 1倍未満は「割安」のサインとされますが、万年割安のまま放置される銘柄も多い点には注意が必要です。市場がその企業の将来性を低く評価しているケースもあります。

PBRの目安

業種 PBRの目安 傾向
銀行 0.3〜0.7倍 低PBRが常態化
製造業 0.8〜1.5倍 資産が多く低め
IT・サービス 2〜10倍以上 無形資産が大きく高め
小売 1〜3倍 ブランド力で差が出る

PBRも業種ごとの水準が異なるため、同業種内での相対比較が基本です。

PERとPBRの違いを整理する

PERとPBRは似ているようで、見ている角度がまったく違います

比較項目 PER PBR
何と比較? 利益(稼ぐ力) 純資産(持っている資産)
重視する視点 収益性・成長性 資産価値・安全性
目安のライン 業種平均との比較 1倍(解散価値)
赤字企業 算出不可 算出可能
向いている場面 成長株の評価 資産株・バリュー株の評価

PERは「稼ぐ力」、PBRは「持っている資産」から株価の妥当性を測る指標と覚えておきましょう。

PER×PBRを組み合わせた実践活用法

4象限マトリクスで銘柄を分類する

PERとPBRを組み合わせると、銘柄の性格が見えてきます。

分類 PER PBR 特徴
割安・有望 低い 低い 利益も資産も評価されていない。見直し余地あり
成長期待 高い 高い 市場が将来の成長を織り込んでいる
資産リッチ 高い 低い 資産はあるが利益効率が低い
要注意 低い 高い 利益は出ているが資産が薄い

具体例で見てみよう

架空の企業A社とB社を比較してみます。

A社(食品メーカー)

  • 株価:2,400円 / EPS:160円 / BPS:2,000円
  • PER:15.0倍 / PBR:1.2倍
  • → 業種平均並み。安定した優良銘柄

B社(食品メーカー)

  • 株価:1,800円 / EPS:200円 / BPS:2,400円
  • PER:9.0倍 / PBR:0.75倍
  • → PER・PBRともに低い。割安の可能性あり

同じ食品メーカーでも、B社のほうが利益に対しても資産に対しても株価が割安です。ここから「なぜB社は割安なのか?」を深掘りすることで、投資判断の精度が上がります。

「適正値」を自分で設定する

投資に慣れてきたら、銘柄ごとにPER・PBRの適正値を自分で設定することをおすすめします。

たとえば、A社のPER適正値を16倍と設定した場合:

  • 理論株価 = EPS 160円 × 適正PER 16倍 = 2,560円
  • 現在株価2,400円との乖離率は約+6.7%(上昇余地あり)

このように適正値を決めておくと、「今の株価は割安なのか割高なのか」を定量的に判断でき、次の一手が明確になります。

PER・PBRを使う際の注意点

便利な指標ですが、万能ではありません。以下の点に気をつけましょう。

  • 赤字企業にはPERが使えない → PBRや売上高成長率で判断する
  • 一時的な特別利益・損失に注意 → 本業の利益で計算し直す
  • 業種をまたいだ比較は意味が薄い → IT企業と銀行を同じ基準で見ない
  • 数値だけで判断しない → ビジネスモデルや競争優位性も合わせて考える
  • 過去の推移も確認する → 今のPERが過去と比べて高いか低いか

まとめ:PER・PBRを味方にして投資判断の質を上げよう

PERとPBRは、株式投資における最も基本的なバリュエーション指標です。

  • PERは「利益に対して株価が何倍か」を示し、収益性の視点で割安・割高を判断する
  • PBRは「純資産に対して株価が何倍か」を示し、資産価値の視点で割安・割高を判断する
  • 業種ごとに水準が異なるため、同業種内での比較が基本
  • 2つを組み合わせることで、銘柄の特性をより立体的に把握できる
  • 適正値を設定すれば、乖離率から次の一手が見えてくる

カブノオトでは、銘柄ごとにPER・PBRの適正値を設定すると、乖離率と理論株価が自動算出されます。「割安」「割高」がひと目でわかるバリュエーションラベルで、感覚ではなくデータに基づいた投資判断をサポートします。気になる銘柄の分析を、カブノオトで始めてみませんか。

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